動画制作現場ならではの切り口で綴るWebコラム

商品やサービスの素晴らしさを伝えるには。

◆直接手に取れないジレンマ

　リアル店舗であれば、お客様は直接商品を手に取り、見て、その良さを直に判断することができます。洋服で言えば試着、食品であれば試飲や試食、車であれば試乗と、様々な方法で確認しながら購入されたことがあると思います。

　最近では、ホームページなどサイトを使って、商品やサービスを販売する形態に変化しています。そのため、お客様は直接、その商品やサービスを手に取り、実際に試してから購入することができません。

　いかに、商品やサービスに対して購買欲を高めるために、視覚と聴覚でうったえるかが、インターネット市場の難しさでしょう。

　多くのインターネット市場の、一番の課題と言えます。

利用者の感想が信頼を生む

　そこで、一番消費者に対して、商品やサービスの素晴らしさを伝える事ができるのは、利用されたお客様のリアルな感想ではないでしょうか。すでに、インフォマーシャルの世界では当たり前のように、利用されたお客様からの感想や、before/afterの画像や映像をCMの間に必ず流しています。

「皇潤」や「にんにく卵黄」など、すでに目にされて、実際に「よさそう」と感じて思わず電話に手が伸びたという方も多いはずです。「皇潤」は有名な芸能人を起用していることで、信頼感がましてきます。

　「ライザップ」は有名ですね。まず、beforeの体型が目に飛び込んできます。そしてCMの最後には完成されたaftreの全身が映しだされます。

「お客様の声」が信頼度を生む

　このように、実際の店舗やセールスマン、販売員がいないCMの世界では、どれだけその商品やサービスの良さをお客様の心に突き刺さるようにするかが、大きな壁になります。

　そこをクリアすれば、ほとんどCMの効果を期待できるようになります。

　ただし、15秒〜30秒のテレビCMでは、十分に伝えることは難しいのが現状です。この短い時間にお客様の声を反映させ、消費者が見た瞬間に、「この商品いいかもしれない」と思わせるには、かなりクオリティの高い内容でなければいけません。

　そうなると、制作費用が高くなるのは当たり前のこと。しかし、中小企業や個人事業者にとっては、大きな壁です。そこで、その問題をクリアさせることができるのが、インフォマーシャルを使った「お客様の声」を映像で流すテクニックです。

すでに効果を実感

　住宅販売企業は、自社のホームページに、購入された家の良さを伝える「お客様の声」を掲載しています。

例えばイシイホーム住宅研究会様

　家は見に行くこともできますが、その家がどれだけ魅力あるモノかを伝えるには、実際に住んでいる顧客の感想を聞くのが一番効果がありますよね。試着や試食のように、その瞬間にいいか自分に合うかが判断しにくいものは、このように直接利用している方の声を反映させるのが、一番大きな効果を期待できるでしょう。

海外の「お客様の声」事情

出典:www.apparel-web.com

　海外では、「ハウルビデオ」が今注目されています。この「ハウルビデオ」は、商品を購入された顧客が映像の中でその商品の良さを伝えています。

　特に20代の女性が自ら動画投稿サイトに投稿していて、その中で感想を、実際に商品を見せたり、使っているところを見せながら楽しく伝えています。これは、かなりインパクトがあって、信ぴょう性が高い宣伝効果バツグンのアピールになりますね。

　日本でも１００円均一の化粧品だけを使ってメイクをするという映像を、YouTubeやInstagram、Facebookで多く見かける様になりました。これもまた、「ハウルビデオ」と言えるでしょう。

本当の良さを伝える効果的な「お客様の声」

　このように、直接触れて、見て、食べて、使ってみてその良さを実際に利用された方から、リアルな感想を伝えてもらうことができれば、リアル店舗でなくても消費者の購買意欲をかきたてることが十分にでき、これからのインフォマーシャルに必要不可欠です。

　ただ、一番難しい点がお客様の声をどう集めるかです。

　役者さんなどに台本を読ませて出演してもらういわゆる「仕込み」もありますし、知り合いベースで協力してもらうという手もあります。

　通販企業が行うお客様の声集めとしてアンケートを実施して対価として商品サンプルを渡したり、安く購入できる特典を渡したり、撮影を入れる取材なんかでは実際に担当社員が直接購入者に連絡してアポを取り交渉する事もあります。基本的に謝礼としてお金を渡すよりも上記のようにサンプルや割引などの特典などを協力者に贈呈してリアルな声を拾うというテクニックがおすすめみたいです。

　ホームページでどれだけ商品やサービスの素晴らしさを伝えても、この「お客様の声」に勝るものはないですね。インフォマーシャルの中の「お客様の声」は、「本物を伝える」エネルギーとして消費者の心を動かすことができるのです。