最近、業界でも主流になりつつあるのが今回紹介する「ダイナミックレンジ撮影」。白飛びや黒つぶれを押さえて編集時に明るさや色味を調整する撮影方法で「逆光に人物」とかもキレイに撮れる方法です。
今回はpanasonic GH4でその手法に挑んでみました。
テレビ番組メイキング「予算押さえてね♡」by 番組プロデューサー
お待たせしました!!
大阪でNo.1!!なんでも自分で制作してしまう映像ディレクターと言われているかもしれない
今回は現在放送中のオーディション番組「MODE KANSAI」撮影の裏話です。
まず、ただいま弊社にて、このオーディション番組の制作を行っているのですが、そこで使った機材の紹介です。業界的には少し変わったカメラの使い方をしたのでその辺を紹介したいと思います。
「予算を押さえてめちゃめちゃすごいCM並の映像美を作れ!!」というプロデューサーの指令がありまして・・・。最近は予算が無いのが当たり前というか、予算がある案件を知らないと言った方がよろしいでしょうか?
「無い中で良いものを作る」が得意分野ですので、一度やってみたかった機材を使用してみました。
撮影機材ってどうしてるの?
その前に、そもそも撮影機材ってどうしてるの?というお話なのですが、弊社の場合、ほぼレンタル機材でまかなっています。
カメラは数台所有しているのですが、用途に合わせて低予算でまかなえるレンタル機材の方が何かとメリットがあるんです。
例えば、1日5,000円くらのカメラから1日150,000円のカメラまでいろいろあります。その他にもクレーンやドローンなどの特殊機材やカメラ数台が必要な時など、実際に購入して使用するより、弊社のようにいろんな案件が飛び込んでくる場合はレンタルの方が安くまかなえるんですね。
レンタル1日10,000円くらいのカメラを通常購入したら100万円くらい。150,000円のものなら600万〜1000万くらい。毎日撮影現場があれば別ですが弊社の場合、毎日撮影があるわけではありませんし、必要なしと判断しました。
他の制作会社さんでもそうしてる場合が多いようです。また、自社で機材を所有している場合でも案件に対して費用を割り振る場合もあります。
ちなみに大きなCM案件だとレンタルでも照明やクレーンなんかも含めて機材費だけでも50万〜100万とか平気でかかったりします。
もちろん低予算の場合は自前のカメラで挑んだりもします。そこは融通をきかせて予算の中で良い物を作るという考え方です。
GH4でのダイナミックレンジ撮影(V-log方式)
という事で、現在弊社のメインカメラがこちら。
Panasonic GH4
動画撮影としての使い勝手がいいのと4Kでの動画撮影が可能なので重宝しています。
けっこうクセがあるのであまり使っている人は少ないかもですが。
今回のオーデョション番組では番組の中でCMっぽいショートムービーを作るという企画なんですね。GH4で普通に撮ればそれっぽく撮れるのですが、今回、照明スタッフも無し、外ロケで撮影時間も限られている事から思いきってダイナミックレンジ撮影を試みました。プラス10bitでの収録。
ダイナミックレンジ撮影とは、簡単に言うと白飛びや黒つぶれを限界まで大容量で記録しておく事で、後の編集時点で明るさや色温度を調整できる撮影方法です。
ただ、ご存知の方もいると思うのですがGH4のダイナミックレンジ撮影(V-log方式)はノイズや色潰れも多々ありますので、テスト撮影を何度かして下さいね。
このダイナミックレンジ撮影の詳細は話すとややこしいので割愛します。つまりのところ、何が言いたいかというとこのGH4が
Panasonic GH4
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こうなった!!という事なんです。
Panasonic GH4カスタム!!
そして私、上坂はカメラも担当しますので・・・こうです。
逆から見ると配線いっぱい。
ちなみに今回の機材は、カメラGH4(V-logカスタマイズ済み)、インターフェイスユニットAG-YAGHG、外部録画機器のKi Pro Quad、Vマウントバッテリー、SSD500GB、モニター、GH4用のリグ、三脚はVinten Vision10です。
GH4が安い部類といえ買ったら100万越えでしょうか?
撮影してみるとダイナミックレンジの場合、彩度が落ちた白黒に近い画ができあがります。
この画に編集で色(LUT)をつけてあげます。
本来、撮影時にホワイトバランスや照明加減、明るさを設定して撮影をするのですが、現場で時間が無い場合や編集で雰囲気のある色をつけたい場合、こんな感じの撮影をします。
今では映画やCMはほとんどこの手法で撮影されていますね。ただ厳密にはカラーグレーディング専門の人や現場で仮に色をつけて仕上がりイメージを確認したり、ホスプロ(編集スタジオ)での編集など、実は手間と予算がかるものでもあります。
今回は撮影、色づけ、編集も自分でやりましたが、色に関しては答えが見えなくなる場合が多いので色の事、勉強しなくてはと感じる今日このごろです。
ちなみに私、実は色彩検定2級を・・・・勉強した経験はあります。
はい。勉強した経験があるだけです。
まとめ
機動力を高めるために一眼レフで撮影する事が多い今日この頃ですが、ここまですると機動力はまるで無し。今回の撮影は歩きでの移動なども多々あり、このカメラと三脚を運ぶ事が一番辛かったです。
ただ仕上がりに関してはプロデューサーも太鼓判を押してくれたので結果よかったです。アーティスティックに表現する映像ならダイナミックレンジ撮影はおすすめです。
※ちなみに1分のショートムービーを撮るのに700GBの撮影データになりました。保存用のハードディスク2TB購入しました。高画質になるにつれてデータ量も半端なく、お金もかかるんですね。この業界は。
↑ 三脚を持ってくれるやさしいプロデューサー
次回は他のメーカーのダイナミックレンジ撮影も試してみようかなと思っております。
今回撮影した番組「MODE KANSAI」は6月末ケーブルテレビBaycomチャンネルにて放送予定です。番組ロゴやCGグラフィックも私が制作しておりますのでBaycomが映る人は見て下さいね!
ここまで書いてみてなんですが「きれいなだけ」ならiphone6でもめちゃきれいに撮影できますよ。
弊社ディレクターの高橋は某テレビ番組にiphone6で撮影した素材を納品した事あるみたいです。問題ないどころか、きれいすぎたと言っていました。今後は小さいカメラで、じゃんじゃか撮影する事が主流になりそうですね。
上坂「おはようございます!!」
クライアントさん「あれ?今日カメラは?」
上坂「これです。」と胸ポケットからカメラを取り出す。
みたいな。
あと、家庭用カメラと業務用カメラの違いをよく聞かれるのですが、端的に言うと違いはマニュアル操作のしやすさでしょうか?
家庭用カメラはオートで簡単に撮る事を前提としていますが、業務用カメラは手持ちの安定感やボタンがいっぱい露出していて、さっと的確に設定を変える事ができます。
オートでずっと撮っていると画面が黄色くなったり青くなったり真っ白になったり、フォーカスが変なところにあっていたり・・・。
この業界に入って東京の師匠に、最初に教えてもらった事は「カメラは賢そうに見えてバカである」です。
人間が基準となるのはこの白だよ!!とか。明るさは今ここだよ!!とか。フォーカスは今、ここに合わせるんだよ!!という事を教えてあげないといけないんです。
そういった意味でマニュアル操作がしやすい事が撮影現場で生きるんですね。
自社で撮影する方や、これからカメラを覚えようとしている方はマニュアル操作を覚える事をおすすめします。購入するならこのGH4などの一眼レフカメラでいいと思います。写真も撮れて動画も撮れるので。web動画の撮影で重要な事は実は音声だったりもするので、そのへんはまた次回にでもお話しますね。
追記:GH4 V-logで撮影した映像がこちらです。
色は演出上かなり抑えています。
MODE KANSAI Short movie